弁護士による示談交渉

示談交渉を弁護士に依頼するメリット

交通事故の示談交渉において、弁護士は、専門知識・経験や各種の資料・手法を駆使します。
そのような交渉は、被害者ご本人にはなかなか難しいところがあるかもしれず、示談交渉を弁護士に依頼するメリットと考えていただければと思います。

弁護士による示談交渉について、以下ご案内します。
(このページで、「保険会社」は加害者側の任意保険会社をいいます)


弁護士による示談交渉の進行

示談交渉の初期段階では、弁護士からの損害賠償請求に対し、保険会社からの回答は低額になっているのが通常です。
そこで、弁護士は、保険会社の担当者との間で、必要な場合は追加書類を送付するなどして、折り合いがつくかどうか探る交渉をしていきます。

その示談交渉の過程で、状況に応じて、弁護士はご依頼者と打合せをし、保険会社は社内で打合せをすることがあります。
折り合いがつくようなら、最終的な示談金額について、弁護士はご依頼者から了解をいただき、保険会社は社内決裁をとりつけて、確定します。
そのうえで示談成立の書類を交わせば、示談交渉は終了です。

弁護士基準による示談交渉

示談交渉について、弁護士は、もちろん弁護士基準で臨み、ご依頼者のお考えもうかがいます。
弁護士基準は、自賠責基準や任意保険基準よりも一般的に賠償額が高くなり、そのことを保険会社側も熟知しています。

保険会社は、弁護士との示談交渉では、いきなり弁護士基準に合わせることは殆どしませんが、交渉の過程で、当初の回答よりは弁護士基準に近づいてくるのが通常です。

弁護士基準は裁判基準ともいわれ、裁判でも用いられると予想されます。
保険会社としては、そのことに加え、裁判になったときの遅延損害金・弁護士費用の賠償の上乗せや、その他の追加出費等をリスク(訴訟リスク)と考え、ある程度は弁護士基準に近づいてくるようです。

弁護士による示談交渉の資料

交通事故の示談交渉において、弁護士は、診断書・診療報酬明細書・後遺障害診断書などの医療記録や、後遺障害が認定された場合の認定票、休業損害証明書、現場・車両・怪我の状況等の写真、車両等の修理の見積書・写真など、各種の基礎資料を用いて賠償額の交渉をします。
(なお、それらよりもさらに基礎となる資料として「交通事故証明書」があります)

さらに、過失割合が問題になるときは刑事記録を示談交渉で使うことが多くあります。

人身事故は、警察へ通報すれば、刑事事件として警察や検察といった捜査機関による捜査が行われます。
加害者が裁判所へ起訴されて、略式命令を含め有罪判決が出されていれば、通常、起訴状、判決または略式命令、実況見分調書(現場見取図)、写真、被害者・加害者・目撃者等の供述調書など、各種の刑事記録が取得できます。
加害者が不起訴の場合も、刑事記録のうち実況見分調書(現場見取図)や写真は取得できます。
(刑事記録の中には黒塗りされている箇所があることはあります)

これらにより、被害者側が認識する事故の態様を示して、過失割合の交渉をします。
また、この刑事記録は、被害者の怪我の程度や後遺障害の程度が問題になったときも、記載内容によっては示談交渉の資料になり得ます。

このほか、状況によっては医療照会やカルテ等を示談交渉で用いることもあります。

総額ベースの示談交渉

交通事故の示談交渉は、まずは慰謝料、休業損害、逸失利益など、個々の損害項目ごとの賠償額の交渉から始めるのが通常です。
しかし、弁護士による示談交渉では、詰めの段階になってくると、個々の賠償額はさておいて、賠償額の総額という観点で交渉することがあります。

この総額ベースの示談交渉は、個々の損害項目について、賠償額の積み重ねを想定はしていますが、賠償額の配分までは確定しないことがあります。
総額ベースの賠償額について、折り合うことができれば示談するという手法です。


示談交渉の冒頭ページへ、以下をクリックして移動できます。 
 交通事故の示談交渉